人を雇う場合に必要な社会保険・労災保険
1. 労災保険
労災保険は、労働者が業務上または通勤途中に病気やケガをした際に、必要な医療費や休業手当などを補償する制度です。加入は雇用者の義務であり、正社員・アルバイト・パート問わず、1人でも従業員を雇用したら加入する必要があります。
手続きは、労働基準監督署へ雇用開始後10日以内に行う必要があります。必要な書類は、事業報告書、労働者名簿、加入申請書などがあります。
2. 社会保険
社会保険は、健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つの保険からなります。加入は雇用者と労働者の双方の義務であり、加入資格を満たす労働者は加入する必要があります。
手続きは、健康保険・厚生年金保険の場合は、健康保険組合または厚生年金加入推進機構へ、介護保険の場合は、市区町村へそれぞれ加入後10日以内に行う必要があります。必要な書類は、申込書、被保険者届、健康保険証交付申請書などがあります。
3. その他
社会保険料は、健康保険料と厚生年金保険料を合わせた額を事業主と労働者が折半負担します。介護保険料は、原則として被保険者本人が全額負担します。
社会保険には、雇用保険や育児休業給付制度など、様々な制度が設けられています。詳細は、厚生労働省のホームページなどで確認することができます。
<ポイント>
労災保険は事業主の義務、社会保険は事業主と労働者の双方の義務
労災保険は雇用開始後10日以内、社会保険は加入後10日以内に手続きが必要
社会保険料は事業主と労働者が折半負担(介護保険料は原則被保険者負担)
会社にとって、社会保険・労災保険への加入は、法的な義務であるだけでなく、従業員の福利厚生を充実させ、優秀な人材を確保・定着させるためにも重要です。制度の内容を理解し、適切な手続きを行うようにしましょう。
雇用保険の加入条件
雇用保険は、生活を支えるための給付金を受けられる制度です。
加入には一定の条件を満たす必要があり、事業主は加入要件を満たす労働者を雇用保険に加入させる義務があります。
1. 加入条件
雇用保険に加入するためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
31日以上の雇用見込みがあること
雇用期間の定めがない
雇用期間が31日以上
雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めが明示されていない
雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約で31日以上雇用された実績がある
1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること
契約上の所定労働時間が20時間以上であることが必要
残業などで結果的に20時間以上働いた場合は、この要件を満たしていない
学生でないこと
高等学校もしくは大学に在学中の学生は加入対象外
2. 例外
上記以外にも、以下のような場合は雇用保険に加入できない場合があります。
60歳以上
障害年金受給者
短期アルバイト(1日4時間未満または週20時間未満)
社会保険の被保険者でない役員
船員
農業従事者
3. 事業主の義務
事業主は、加入条件を満たす労働者を雇用した場合、遅滞なく資格取得届を提出し、雇用保険に加入させる必要があります。資格取得届の提出は、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに行う必要があります。
4. まとめ
雇用保険は、労働者を失業の不安から守り、再就職を支援する重要な制度です。事業主は、加入条件を理解し、適切な手続きを行うようにしましょう。
<ポイント>
加入には3つの条件をすべて満たす必要がある
学生や60歳以上などは加入できない
事業主は加入手続きを遅滞なく行う必要がある
参考情報